相続分の譲渡について

相続

5月に、弁護士法人心の相続チームが東京から銀座に移転して、早くも1か月以上経ちました。おかげさまで楽しくやっています。

 

今日は、相続分の譲渡について書いてみようと思います。

 

遺産分割においては、法定相続分どおりに分けるということが多いのですが、時々、相続人が他の相続人(または第三者)に対し、自己の相続分の全部又は一部を譲渡するという場合があります。

どういった場合に相続分を譲渡するかというと、よくあるのは、数次相続で相続人の数が膨大になる場合に、人数を絞るような場合です。たとえば、相続人が10人とか20人とかいると、全員で遺産分割協議を行うのは大変でお手上げ状態になってしまいます。人数を絞ることで、手続を簡便にして進めることができます。

 

また、長年被相続人と疎遠であった相続人などが、他の相続人に対して、相続分を譲渡するような場合もあります。

たとえば、相続人が妻と長男、長女であったときに、長男が病気の父の介護を行ってくれたなどの理由で、長女が長男に対し、自己の相続分の全部を無償で譲渡するような場合です。

その場合は、妻と長男だけで遺産分割協議を行うことができ、長女は遺産分割協議に署名押印する必要はありません。

このような協力によって、介護のねぎらいの気持ちを伝えることができるなど、長期的にも良い影響があると感じることがあります。

 

なお、相続分の譲渡を行うと、譲渡人と譲受人との関係では、プラスの財産もマイナスの財産も含む相続財産全体について、割合的持分が移転しますが、相続債務の債権者との関係では、相続分の譲渡人を免責すべきではないとされているため、譲受人だけでなく譲受人も責任を負うこととなるので、注意が必要です。

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