遺言書の残し方

相続

 東京の弁護士木谷です。

 今日は、遺言書の残し方について書いてみます。

 

 日頃、なかなか遺言書について思い至らないかもしれません。

 しかし、思わぬタイミングで体調を崩すこともあります。

 可能であれば、元気なときにこそ、ご自身や家族のことを思いながら、整理しておくとよいのではないかと思います。

 

 人が亡くなった場合、遺言書がなくても法定相続人によって相続がされますが、遺言書があればそれが優先されます。

 たとえば、法定相続人以外にも財産を残したい人がいる場合や、遺産分割で争うのを避けたい場合などには、遺言書を作成することで、自分の意思を残すことができます。

 一般的には、遺言者が手書きで作成する「自筆証書遺言」か、公証人が遺言者から聞いた内容を文章にして公正証書を作成する「公正証書遺言」が利用されることが多いですが、内容を秘密にしたまま、存在だけを公証人と証人2人以上で証明してもらう「秘密証書遺言」もあります。

 

 「自筆証書遺言」は、遺言の全文、日付、氏名を自分で手書きして、押印をする遺言書です。手軽に作成し、秘密にしておくことができる点は長所ですが、要件を満たしていないと無効になる、遺言書が紛失するおそれがある、相続開始後に家庭裁判所に提出して検認手続きをとる必要があるなどの短所もあります。

 これに対し、「公正証書遺言」は、公証役場で証人2人以上の立会いのもとで、遺言者が遺言の内容を公証人に述べて、公証人が文章にまとめて作成してもらいます。遺言書が無効になる可能性が低く、また、遺言書が紛失するおそれもない、家庭裁判所での検認手続きも不要であるなどの長所があります。他方、費用や手間がかかる、証人2人が必要となるなどの短所もあります。

 

「自筆証書遺言書」については、令和2年7月10日から、遺言書の原本とその画像データを法務局で保管する「自筆証書遺言書保管制度」が始まりました。

 この制度は、自筆証書遺言の手軽さを生かしつつ、これまでにあった問題を解消するために開始されたものです。法務局で保管してもらうことで、遺言書の紛失や盗難を防ぐ、形式が適合するか外形的なチェックを受けられる、遺言者が希望すればあらかじめ指定された人に通知してもらえる、家庭裁判所の検認手続が不要となるなどの長所があります。

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